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100:「蟻の百歩」 

蟻の百歩
沖縄ぶらり一人旅。昨年は、テン ト生活で雨にさらされ大変な目 にあったので、今回は、軽ワゴンを レンタルして荷台に寝室を作り、
公衆トイレのある駐車場で車中 泊。またもや、雨に打たれたけれ ど三泊四日、快調に島を巡った。

昨年の旅の目的地は普天 間。今回は辺野古。基地のこと をもう少し知りたいと、浜辺に ある青テント村に足を運んだ。

辺野古基地の全容について説 明を受けた。どんな基地が造 られているのか。本当に必要な のか。絶滅するサンゴ礁。産卵 の場を失くしたウミガメ。ジュゴ ンはどこかに消えた。
青い海を濁す埋立ての土は、 本土から運ばれてくる。北九州 は門司からも。生態系の破壊 なんて考えられてもいない。
地下断層に軟弱地盤。いつ基 地ができるのかもわからない。
その間、建設費用も高騰す る。沖縄県の試算では、2兆円 を超えるとも。
これらは全部僕らの税金だ。
小型ボートで埋立て現場近 くまで連れて行ってもらった。
どこまで走っても海は透き通 り海底まで手が届きそう。
異様な光景は、およそ7キロに 渡って張られているオレンジ色の オイルフェンス。そして、このオイル フェンスを 10 艇以上のカヌーに乗っ た人たちが越えようとしていた。
すると、海上保安庁の警備 艇から「ここは制限区域です」 と大音量での連呼が始まり、フ ェンスを越えた人たちは、次々と 拘束されていった。
基地建設を阻止する抗議活 動だと聞いた。僕は、称賛も非 難も、言葉すら出なかった。
「象に蟻たちが挑んでいる」
ただ、そう思い描くと、これ はボランティアも同じで、僕も 蟻の一匹だと思えてきた。

象に蟻一匹ではかなわない。で も、数万匹と集まれば、きっと 何かが変わるはず。
このコラムも百回目を迎え た。蟻の一歩は見えないけれど、 百歩の歩みは見えてくる。

※今回を持ちまして「ボランティア物語」 は終了いたしました。ご愛読ありがと うございました。