メニューへリンク

» 96:沖縄旅日記3

96:沖縄旅日記3

全開にした車のワイパーが、 雨の重さで止まってしまうなん て、沖縄の雨は半端ない。

そんな雨に打たれながら歩 く二人のバックパッカーを見つけ た。車を横に付けると、なんと 外国人のカップル。とにもかく にも「カモーン」と叫び、二人を 後部座席に招き乗せた。

文法無視、英単語を並べて、目 的地を聞くと、偶然にも僕も行 こうとしていたキャンプ場だった。豪雨と英単語探しに、頭の中は 真っ白け。道に迷いながらも何と かキャンプ場に到着した。

外は危険と、管理人からキャ ンプ場の建物の中に案内され、 ここにテントを張らせてもらう ことにした。閑散とした食堂。 ようやく一息つくことができた。

夕食を一緒にして、改めて紹 介し合うと、二人は、フランス人 だった。男性の名前はガブ。女性 はエマ。ハネムーンで沖縄を歩いて回っているという。そして、美 男美女のはずだ。二人の仕事は 俳優と言っていた。

こんな会話ができたのもスマ ホの翻訳アプリのおかげ。日本 語とフランス語とを交互にスマ ホに話すと、通訳してくれるの で、いろいろな話ができた。

「日本の街はキレイ。しかし、 海はゴミが多い」とガブが言う と「パリはゴミが多い」とエマが、 にやりと笑って返した。

二人は、海岸清掃をしながら 歩いているとのことだった。

「それは、ボランティアか?」 と聞くと、ガブは、大きく瞬き をして微笑みながらうなずい た。

「地球を掃除している。海が 好き。だから、当然なことだ」

「ボランティア は、ガブにとって、当然な行為なのか?」

「どうしてそんなに驚く?日本人 は、真面目に考え過ぎだ」

日常にボランティアがある。そんなガブが、 格好よかった。

真夜中、ヒソヒソと聞こえる二人の声が耳について眠れない。

「スマホで・・・」と思ったけど、そ れは、やっぱりやめたといた。