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94:沖縄旅日記

寝袋とテントをレンタカー に詰め込んで、5泊6日、あ てもない沖縄放浪の旅。

誰もいない浜辺で泡盛を 飲みながら、透き通った海、 青い空、満天の星空を望もうと胸躍らせて向かった。

けれども、毎日、ずっと 雨。しかも、この雨というの も、まさに南の島のスコール。

青い空が見えたと喜んでい たら、一瞬にして曇ってきて、大粒の雨と雷が落ちてくる。

だから、いつも安全な所に テントを運んで避難していた。

自称「雨男」。ここで本領 発揮しなくてもいいのに。

傷心のテント生活最終日も 雨模様。嘆きながらも、浜辺に 備えられた行事用の大きなテ ントの下に荷物を運び入れた。

そこは、ビーチパーティー 用の有料テントだったので、 許可を取らねばと、ビーチの管理人の家に挨拶に行った。

日暮れ時、ビーチに面した テラスでは、管理人のオジサ ン二人が、泡盛を飲んでいた。

「そこのテント、お借りします」

妙な人間の登場で、テラスに 気まずい空気が漂った。そし て、ふと見ると「辺野古NO」の ポスターが視界に入ってきた。

「僕、辺野古に行きました」

有名観光地に寄らずとも、 普天間と辺野古だけは、この目 に焼き付けてきたから、ポロリ とこの言葉が出たのだろうか。

すると、がらりと雰囲気が 変わって「こっちに来んしゃい。 飲みんしゃい」と、二人は、僕を テラスに招き入れてくれた。

それからは、泡盛と奥さんの 手料理で歓待され、そして、地 元ならではの話をたくさん聞 かせてもらった。それはもう、 泥酔するほど楽しくて・・・。

高級な「おもてなし」より も、素朴な「もてなし」の方が 心にしみる。それは、相手に 見返りを求めていないから。

沖縄ぐるりと一周ひとり 旅。初めて雨に感謝した。