先日の自殺願望がある人を殺害し、遺棄するという事件。
その残忍さには怒りと同時に、こんなにも自殺を抱く若者がいるのかと思い知らされた。
僕が活動するチャイルドラインにも、自殺を思う子どもからの電話が掛かってくることがある。
未来を悲観し、死にたいと悩むほど、絶望感で満ち溢れている子どもたち。
だけど、大人たちは、子どもの困 難を過小評価しがちだ。
僕たち大人は「子どもだからこその苦悩」を認める必要があると思っている。
理由がないのに自殺願望など生まれてこない。
チャイルドラインでは、この気持ちをしっかり受け止 め、じっくり聴いていく。
自殺するしかないという狭窄した心の視野を広げ、
耐え難い重圧からの苛立ち や焦燥感を和らげていく。
「あなたと私はつながってい る。孤独じゃないよ」と、いのちのメッセージ。
自殺を思う人の心は、死にたい気持ち」と「生きたい気持ち」との間を、
まるで振り子のように揺れ動いていると言われる。
そして、この揺れ幅が大きいほど自殺願望が強い状態であると。
ならば、この振り子を「生きたい気持ち」の方向に無理やり大きく振らせようとするよりも、
振り子の揺れ幅を出来る限り小さくすることではないかと思う。
叱咤激励はいらない。振り子の持ち手を優しく上に あげると揺れは収まる。
公共広告機構ACのCM から、「命は大切だ」「命を 大切に」・・・。
そんなこと、何 千、何万回言われるより・・・。
「あなたが大切だ」・・・。
誰かがそう言ってくれたら、それ だけで・・・。
生きていける