電話のコールが鳴る。
「はい、チャイルドラインです」
すぐに話を始める子ばかりじゃない、ずっと黙ったままの子もいる。その子から発せられる声をじっと待つ。思わず受話器を持つ手に力が入る。
そして、ポツリと話が始まることもあれば、カチャリと切られることも多い。
こども専用電話であるチャイルドラインは、各地域のボランティア団体が、フリーダイヤルで、全国の子どもたちの声を受けている。北九州でも年間約2000件の電話を受けている。
電話の受け手と何気ない会話を楽しむ子もいれば、誰にも言えない深刻な悩みを打ち明ける子もいる。
お互いの顔も名前も知らない電話での関係だから、感情をあらわにして本音を語ってくれる子も多い。
このチャイルドラインの活動の基本は、「傾聴」。
子どもからの相談に対し、迷いや不安をすべて吐き 出せるよう、その子の気持ちに寄り添い聴いていく。
子どもに問題の解決方法を逐一アドバイスしない。
一緒になって問題を考え、答えを導き出した子どもを称え、勇気づけていく。
それでも、つい「こうしたらいい」と分かったような解決方法を授けてしまう。
あるいは、「こうしなければ」と、偉そうに解決方法を押し付けてしまう。
これでは、まるで伝道師。迷える人の上に立ち、自分の生き様を説いている。
「この人を助けたい」という思い上がりがあっては、「傾聴」できないようだ。
チャイルドラインの活動 で、この言葉に出会った。
「敬聴」。