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75:オヤジの会話

同級生、男四人。「久しぶりに飲もうぜ」と居酒屋に集まった。
10年ぶりになるだろうか。50歳を過ぎたオヤジの会が始まった。

談笑と言っても、その話題は、もっぱら、病気自慢から家庭内ニュース。
それでも、杯を重ねるにつれ、昔のやんちゃ振りを懐かしむと、オヤジたちの地声は大きくなっていった。
孫の誕生、昇進、栄転と何度、乾杯したことか。

僕を除いて他の三人は中堅企業の会社員。
それぞれ三人は、他業種だけど、どこかで仕事上の付き合いがあるらしく、仕事の話になると、一瞬にして真剣な表情を浮かべた。
「お前ら、会社人間じゃね」
と僕は茶化した。

ゴルフの話題になった。
三人は一緒にプレイしたことが何度かあり、一層、話が盛り上がっていった。
一方、ゴルフ経験ゼロの僕は、完全に蚊帳の外。
何やら、接待ゴルフで、絶妙な負け方があるようで、その方法とやらを伝授し合っていた。
こうなると、あきれて話に乗る気にもならない。

そんな仏頂面の僕を見かねてか、話を振ってきた。
「まだ、ボランティアとかしてるんか」
もともと、三人のボランティア活動に対する思いは辛辣で、容赦ない言葉を投げかけてきていた。
「仕事が暇な人間しかボランティアはできない」
「会社で認められないから、ボランティアしてるんだ」
「仕事が出来てからボランティアだろ」とかまで・・・。

以前は、むきになって反論していたけど、今は違う。
「どうだ、羨ましいだろ」