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52:希望の工―ル

東日本大震災での惨状を見るたびに心が痛む。
最大級の地震、津波による崩壊、原子力発電所の事故、大規模停電、株価暴落。
地球の変調の前に、生命はもろくも消えていく。
ニュースは、非情な画面を繰り返し、恐ろしげに語り、更に不安を煽ってくる。
目をそむけたくなるが、気になり、また見てしまう。

何だ。この胸が締め付けられる思いは。
何だ。この足が震えるような感覚は。

 喪失感、悲哀感、恐怖感、焦燥感、不信感…。
苦しくて、つらくて暗い。
こんな気持ちを引きずっている時、僕が世話する高校生ボランティアサークル「のばら」の、子どもたちからメールがいくつも届いた。
「僕らで何かしましょう」
「募金活動をしましょう」すぐにメールを返信した。
「そうだね。よし、やろう」

僕自身が、彼らの熱意に後押しされた気分になった。以前、北海道であった有珠山噴火での災害ボランティアに参加したことがある。
被災地の人たちから聞いた声が忘れられない。
「ボランティアからいただいたのは、支援金、物資、復興作業はさることながら、一番は、『希望』だった」

人の行動源は、二つあるといわれる。一つは不安。もう一つは希望。 
不安にさいなまれる者は、武器を取り、保身に走る。
希望に満ちあふれる者は、夢を抱き、愛を育む。

自発を重んじるボランティアなら、後者でありたい。応援する側が、不安にすくんでいてはダメなんだ。
いつもより僕らが、元気を出して、被災地に届けよう。
『希望のエール』