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45:ともだち

「明日、近くにできたショッピングセンターに行こうぜ。」というタケシからの誘いに僕は応えた。
「いいよ。友だちも連れて行ってもいい?」
「ああ、じゃあ、11時公園で待ってるな」

 あくる日、僕はクリと一緒に公園に向かった。
 クリは、僕と同じ中学三年生。ただ、車イスを使っていて、僕らとは違う学校に行っている。小学校の時、キャンプで知り合ってからの友だちだ。
 タケシは、クリを見て、すごく戸惑っていた。
 それでも、クリがいつもの調子で、おどけて話しかけるものだから、すぐに、僕らはうちとけた。そして、知らぬ間にタケシが、車イスを押して歩いていた。

ショッピングセンターの中でも、僕らは冗談ばかりを言い歩き回った。 
タケシが、ハンバーガーを食べさせると、クリの顔が、ケチャップでドラキュラみたいになった。
 ゲームコーナーのプリクラで、どうしてもクリの頭しか入らなくて、タケシがクリを背負って写った。
 トイレ介助。クリを支えるタケシまでが一緒になって力んでいた。

 いろんな場面で、僕らは、体がよじれるくらいに笑い合った。
「じゃあ、またな」。クリを家まで送ったあと、タケシは自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

「障害者には、特別に優しくしなくてはいけないと思ってたけど、友だちでいいんだな」
僕も同感だ。
「友だちなんだから…」