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91:ボランティアの不思議

この夏は毎週、朝倉・東峰村 に通った。九州北部豪雨災害 支援ボランティア。

市内から英彦山を抜け、被 災地に向かう。山肌はそぎ取 られ、大木はなぎ倒され、家 は土砂で押しつぶされて、その 道中からでも自然の猛威を 思い知った。

支援活動は、家の床下に潜 って土砂を掻き出す作業。水 路にたまった土砂をすくい上 げる作業。土砂で汚れた家財 道具を拭き取る作業など。も っぱら、泥まみれの活動をして いった。

活動グループは、全国各地 から集まった初対面の人たち ばかり、 10 人から 20 人に振り 分けられた。

それでも、災害支援の経験 者を先頭に作業が進んでいく と、自然にそれぞれの役割が 決まっていった。

掻き出した土砂をバケツリ レーで捨てていく。いつの間に か名前も素性も知らない人 たちが、チームとなって一体化 していった。

「ボランティアの不思議」と 僕は思った。  また、ある男性が言った。

「自分はボランティアという もんじゃなくて、ただ、何かで きないかとの思いでやってい る。それが、被災者支援につな がればいい」。

ボランティア活動に参加し ていても、ボランティアじゃない とは、何だろう?

これも「ボランティアの不思 議」だと思った。

泥と汗にまみれ、作業を終 え、取り除かれた土砂の山を 見ると達成感を覚えた。そし て、一緒に作業した人たちと挨 拶を交わし別れると、やり遂 げた感に満たされた。

それでも、帰り道、被災地 を通ると「また、行こう」とい う気持ちがわいてくる。

これも「ボランティアの不思 議」なんだろう。