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84:痛風の旅

早朝、痛みで目が覚めた。右足親指の付け根のところ。
この痛みは「痛風」。一年ぶりに再発したと直感した。

こいつは、とにかく痛い。
指の付け根を大きな釘でグリグリされているようだ。

「やばい。今日は博多に出張だった」這うようにして布団から出て身仕度をした。

気合と鎮痛薬をゴクリと飲み込み「いざ、博多へ」と威勢よく旅立った。
右足のつま先が、少し地面に触れただけで激痛がはしるので、左足でケンケンしながらバス停に向かった。

汗ぐっしょりでバス停に着くと、すぐにバスが来た。扉が開いた。三段のステップを想定し思い切り跳ねた。
「あれっ」ひょいと簡単に乗れた。バスは、ノンステップバスと書いてあった。

 小倉駅。バスからピョンと降りたら、エレベーター、エスカレーターを乗り継いで改札へ。そしてまた、エレベーターに乗ると、あれよという間にホームに着いた。

建て替え前の小倉駅では、障害者が電車に乗ろうとすると、まず駅に電話しておいて、駅事務室を訪ねて、駅員さんと暗い貨物用のエレベーターに乗ってホームへと行っていた。

通りすがりの人を捉まえて車イスをかかえ階段を上ったことも何度かあった。
身障トイレにあっては、防犯のために施錠されていた。

ボランティア協会では、西鉄、JR、行政などに対して、障害者が使いやすいように と、ずっと要望し続けてきた。それは今でも。

 痛風の旅で見つけた。ちょっぴり自慢したいこと。
「普段、僕らが使っている便利になったところには、障害者とボランティアの熱い声があるんだぜ。」