「ボランティア物語」。
このコラムの連載を始めて10年を迎えた。
さすがに60回を越えてくると、くじけそうで・・・。
こんな時、「読んだよ」と励ましのメールが嬉しい。
「ありがとうございます」
さて、10年前というと、チャイルドライン北九州の立ち上げに関わっていた。
以来、年間、千五百件以上、全国の子どもたちから電話を受けるまでになった。
子ども専用電話のチャイルドラインは、悩みの相談電話でなく、何でも話しをしてもいいという電話。
だから、子どもたちからのたわいのない雑談も多い。
もちろん、いじめや虐待、自死念慮、性の悩み・・・。
顔の見えない電話ゆえにありのままを語ってくれる。
また、雑談の中に様々な問題が隠れていることもあるから、どんな声にもしっかりと聴いていく。
活動の基本としているのは、安易にアドバイスはしない事。問題解決の糸口が見つけられるよう、子どもと一緒に考えていく。
とにかく話しを聴く事だ。
「教育や福祉に携わっている人は『助けてあげたい』という思い上がりが強くてこの活動には向かない」と指摘されたことがある。
「すぐ問題解決を説いてしまうような大人は、子どもを自分に従わせたいだけ」と追い討ちをかけられた。
「悔しいけど、当たってる」
こんな自分に引き換え、若いメンバーは、辛抱強く聴き入っている。それは、あたかも子どもの隣に寄り添う友だちのように。
「傾聴」と言うけれど、聴く側の人間が上から耳を傾けていては意味がない。
10年にして見えてきた。