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» 88 : 普通じゃない

88 : 普通じゃない

宮崎家の夫婦の会話から

「ボランティアは、普通じゃない奴ばっかりちゃね」
「あんたが、普通やないけよ。類は友を呼ぶと」
「俺が、一番、普通ちゃ」
「みんなが一番、自分が普通と思っとうとよ」
「普通やない男の女房が、一番、普通やないんじゃ」と、これは言えなかった。

むきになって反論しても、大抵、僕のほうが負ける。

でも、「普通じゃない」とは、「異常」ということで、面前で「普通じゃない」とか言われたら腹が立つ。

でも、こんな友人もいる。

「世間の普通ということにこだわっていては、俺は俺でなくなる」と。

そんな彼は、いつも赤・黄・青という派手な三原色の服を好んで着ている。

以前、葬式に参列した時でも、赤いシャツの装いで現れて周囲を驚かせた。

だが、この赤いシャツは、故人からの贈り物で、あえて着て来たと聞いた。

いわば、この服装が、彼にとっての「普通」だった。

よくよく思えば「普通」なんて、時の権力者や大衆が定めた基準のない価値観。

だから、時代や場所が違えば、今ここの「普通」は「普通」でなくなる。

それでも、多数が「普通」とすれば、理不尽な慣習であっても、巷に浸透する。

対してボランティアは、少数派の側に立ち、時には、権力者とも抗ってきた。悪しき慣習に意を唱え社会を変えてきた。

だとすれば、ボランティアは、「普通じゃない」と言われてもあながち外れてはいないのかもしれない。

ゆえに「普通じゃない」とは、「特別」ということ。

そう思えば、女房とケンカすることもなさそうだ。